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ライドシェア講演14

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ライドシェア講演14

タクシー運賃を安くして、お客様がどんどん増えたら、売上はどこまでもあがるでしょうか?このことを一般の人はよく考えていませんので、よく説明する必要があります。
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 タクシー運賃の価格弾力性が高い場合は、運賃を1割下げたら1割以上の需要増があって、売上は上がります。需要が上がればタクシーの空いている時間が詰まってきて、売上は上がっていきます。空いている時間がなくなってくると、時間あたりに走れる距離で頭打ちになり、そこからは運賃が安くなる分売り上げは下がってきます。空いている時間をどれだけ埋められるかがポイントになる訳です。バスの定時性を確保するためにバスレーンを設定している地域は多いのですが、タクシーも走る速度を上げることによって、運賃を安くできる要因にもなるのです。このことは、行政の都市政策の専門家もあまり考えないことです。
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 タクシー運賃をいくらにしたらよいか考えるときに、上の式によって考えるのが本来のあり方です。運転手時給の目指すところがあって、地域で決まる走行速度、目指すところの走行時間率が決まれば、運賃は決まってきます。現在のタクシー運賃の決め方は、こんな理論的なことは考えず、何十年も前に適当に決まった運賃から値上げ率をかけてきただけのものです。これで、「タクシーのあり方」を国が議論するのですから、あきれたものです。
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 ひとつの前提から、タクシー運賃がどこまで安くできるかを計算してみました。1時間の中で、トイレ休憩等の最低限の休憩を10分間とし、50分は走行するのがほぼ最高と考えます。実車率は、40%としました(これはもう少し増やすことはできるでしょう)。市街地での平均走行速度を25km/時とすし、運転手時給を最低レベルの800円/時とすると、運賃は241円/kmとなります。これ以上下げると、売上は減少していくことになります。実車率を上げていくことしか手がなくなります。現状のタクシー運賃が300円/km程度なので、半額にするには、会社組織では無理で、ウーバーのように売上がそのまま給料にならないとできないことになります。
 あと考えられることは、実車率を60~80%にまで上げれる工夫を考えること。走行速度を上げれるように、タクシーレーンを設定してもらうこと、など、具体的に考えていくことが必要です。今までのように、精神論だけで議論することは、せめて国のレベルではやめてほしいと思いますね。

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