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広がる自家用輸送とタクシーの規制

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広がる自家用輸送とタクシーの規制
自家用車送迎がまたひとつ緩和になりそうです。
 昨日の東京交通新聞によると、政府の追加経済対策の一環で、「宿泊者・エコツアー送迎の一部を規制緩和し、道路運送法の適用除外とする」というものです。
 道路運送法では、「有償で他人を輸送する」場合には、道路運送法の許可が必要だとしています。そして、自家用車での有償の運送はできないことを定めています。ただし、例外規定があって、3つのものが認められています。
①災害のため緊急を要する時
②市町村、過疎地、福祉有償運送で登録を受けたもの
③公共の福祉を確保するため止むを得ない場合
 本来は上記3つ以外での自家用車有償運送はできない筈なのですが、そのまた例外があるのですから、訳がわからなくなります。私が運転協力者に対して法令の説明をする時に、はっきりと線が引かれていないところを説明するのに苦慮しています。
 例外の例外として言われているのが、
①デイサービスなどの施設の利用者の送迎
 これは、施設の利用費の中から送迎費を捻出しているのですから、当然有償運送ですが、例外として認められています。
②ホテルや旅館(あるいは飲食店)の送迎
 これも、宿泊費の中に送迎費も含まれていると考えられ、有償運送ですが、自宅や最寄の駅との送迎だけは認められています。
③葬儀場の送迎
 上記と同様で。ただ、火葬場に行くのは本来違反だと思うのですが、はっきりしません。
要するに、商売に付随して行っている送迎はほとんどが認められている感じです。
 それに加えて、簡単な観光ツアーまで認めていこうとするのですから、「もう道路運送法なんていらないんじゃないですか?」って言いたくなります。
 一方で、我々事業者に対しては、監査の強化を含めて規制がどんどん強くなっていきます。極端な話ですが、タクシー会社の管理者は「朝から晩まで必要な書類作りに追われ、お客さまのことなど考えられない」状況です。
 振り返って、福祉輸送の「ぶらさがり許可」が認められた時は、当時のS旅客課長が「NPO輸送も認める代わりに、事業者も自家用車でできるようにしたらどうか」との英断を話してくれたことを今でも思い出します。今までの課長の中で一番進歩的で聡明な方だと思っています。
 経済対策で規制を緩和するのなら、タクシーの分野でも、乗合タクシーをもっと緩和するとか、荷物の搬送分野(便利屋)も緩和するとか、一緒にすることがあるでしょう。困ったものです。
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