タクシー事業に関する政策提言

趣旨
- コロナ禍において交通事業者は大変な打撃を受けている。
- この状況下で事業を継続していくためには、抜本的な生産性向上が必要。その際に障害となる規制等について検討し、政策提言を行う。
- タクシー事業者も受け身の経営から脱皮すべきだ。
- どうすれば地域の公共交通を維持できるのか、みんなで考えよう。
提言日と提出先
令和3年4月8日 国土交通省自動車局旅客課
1.譲渡譲受申請の簡素化・迅速化
現状:標準処理期間2ヶ月で、申請書類では新規許可と同等の書類が必要となっています。
また、譲渡と譲受側合わせての2ヶ月分の人件費と1年分の諸経費ということで、概ね1台当たり1千万円程度必要。
⇒実際には、現在運営しているのだから、そんなに運営費は必要ない(「見せ金」的な資金と言える)
一方:株の売買の場合は、登記だけで済んでしまう。
両社とも営業している状態からなので、新規許可と同等な書類というのはあまりにも理不尽な制度と言えます。
2.運行管理業務の共同運営又はアウトソーシング化
会社を集約しても、営業所毎に運行管理者を配置して運行管理を行う必要があり、人件費を削減できません。
運行管理者が営業所を回って運行管理をしたり、アウトソーシングしたりできれば、大きく削減ができます。
3.運行管理業務のIT化
点呼のIT化は実証実験等で検討されていますが、点呼簿の作成等、一連の流れをIT化できれば、大きな負担減と
なります。さらに、出社退社時のみの点呼より、車内での常時監視(飲酒・健康)システムを開発することにより、
安全性も向上し、大きな省力化になります。
国は、こういったIT化の目標を示し、業者への開発を促していくべきです。
4.副業運転手の活用
全国での二種免許の保持者が(70歳未満)117万人で、このうちバス運転手13万人、タクシー運転手28万人です。
副業運転手を地域共同プラットフォームに登録し、活用することで運転手不足を補えるのではないかと考えています。
現在は、運転手は会社に紐づいて登録していますが、個人で登録することで、どこでも乗務することができます。
登録制度の改革も必要です。
5.ジャンボタクシーの営業区域の拡大又は除外
ジャンボタクシーは、流しでの営業はなく、事前に運行経路を把握することもできるので、普通タクシーのような
営業区域の規制は必要ないと考えています。広範囲な観光需要に対応するためにも、営業区域の拡大か撤廃はすぐにでも
実行して欲しいと考えています。
6.ダイナミックプライシングの導入
タクシー運転手の高齢化と不足の根本原因は、生産性の低さにあります。
実車率を上げるためには、ダイナミックプライシングを取り入れるしかないと考えています。
公共交通に対してのダイナミックプライシングに批判的な意見もあると思いますが、
タクシーが存続していくためには、生産性の向上が必要です。
国は、タクシーの生産性に対する具体的な目標を示すべきで、その目標を達成するための
施策を考えていくべきだと考えます。
7.救援事業の対象緩和及び明確化
コロナ禍での飲食物の配達が議論にあがりましたが、救援事業として認めていただければ
タクシーの事業改革が大きく前進した筈です。
救援事業に対する通達は、平成元年に発したもので、30年以上も前のものです。
昨今の情勢を鑑み、新たな解釈と通達を出すべきだと考えます。
貨物事業と旅客とが争うような時代ではないと考えています。