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タクシー特措法改正案のポイント

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タクシー特措法改正案のポイント
「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」が、8日、衆議院を通過したことはすでに述べた通りです。この法律案の内容を見てみます。
 現在の特定地域は、改正案では、特定地域と準特定地域とに分けられます。規制の段階でみると、3段階になることになります。
 特定地域では、新規参入・増車の禁止と強制力のある供給削減措置が取られます。今まで協議会にも参加せずに減車もしなかった「アウトサイダー」にも、営業方法による削減の勧告や命令を出すことができるようになります。供給の削減については、協議会で議論することになりますが、この議論については独禁法の適用除外となります。こう見てみると、特定地域はかなり踏み込んだ規制強化になります。よって、国会での質疑も、この特定地域の指定がどれくらいの地域になるのかの質問がいくつかありましたが、明確な答えは避けられていました。東京交通新聞では、現在155地域の半分くらいという話が載っていましたが、特定地域がどれくらいになるかが、この法案意義の最大のポイントになる訳です。
 準特定地域では、新規参入や増車は禁止ではありませんが、供給過剰でないことが認可の条件になります。実質的には、禁止と見ていいと思います。運賃については、特定地域と同様、公定幅運賃への変更命令ができるという規制強化になります。ワンコインタクシーをはじめ、多くの地域で安価なタクシーが消滅することになると思います。ここでの問題は、ハイヤーをどう扱うかです。この特措法の範囲は国土交通大臣が定めることになるようですが、ハイヤーを入れるか入れないかが大きな分かれ道になります。
 この法律案には、国会での審議を踏まえて17の付帯決議がつきました。今後この内容がどう反映されていくかも注目点のひとつです。例えば、特定地域での減車については、中小事業者での配慮から、保有車両数の規模による法人事業者の区分基準を作るよう求めています。この区分がどのような数字になるのかも注目すべき点です。
 骨子は作られましたが、今後の肉付でどうなっていくのか、これからは国交省と業界との綱引きが続きそうです。
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