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最速降下線で物理にはまった私

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最速降下線で物理にはまった私

数学ブームをテレビが紹介していましたが、私が昔、物理にはまったきっかけになったのが「最速降下線」というものです。
 下の図において、鉛直線内にある(円を立てていると考えて)最高点Pから、円の任意の弦PQに沿って重力でQまで落ちる時間は、PからRまで垂直に落ちる時間に等しいことが計算で導かれます。
 PRよりもPQの方が距離が短いのですが、重力加速度がgcosθというふうに小さくなるので、結果的に同じ時間で到達することになるのです。落ちる時間tが、r(半径)だけに依存していることからも、角度によらないことがわかります。
20110730-163918.jpg

 それでは、何故“円”なのでしょう?それは、PQRという角度が常に90度になるという円の特徴からなのです。
 次に、下の図のように、「点Pから直線に落ちる場合に最小時間で到達するのはどこか?」という問題を解いてみましょう。
20110730-163945.jpg

 答えは、下の図にあるように、Pを通って直線に接する円を描くことで、その接点が最速降下線になります。円の書き方は、Pから水平線を引いて交わる点をSとし、SP=SQとなる点をQとし、Qからの垂直線とPからの鉛直線との交点が円の中心Oとなります。
 こうやって図を眺めてみると、PQ’ではPAとPQが同じ時間なので、任意のQ’ではPQよりも時間が長いことがわかります。一番上の図の性質を使うと、円を使うことによって、最速降下点がわかるということになります。
20110730-164021.jpg

 最速降下点の問題は、物理というよりも作図の問題ということになります。不思議なような、おもしろい問題ですっかりと物理にはまってしまったことを思い出した次第です。

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