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さき田三ヶ森店最後の日

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さき田三ヶ森店最後の日

15年間営業していた回転寿司の最後の日を迎えました。
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(本格的な手作りの“特選アナゴ”や“さんま寿司”は他店では味わえず、最後の賞味となりました。)

 平成3年にタクシー事業を引き継いでから、しばらくはタクシーのことに集中しましたが、運賃も車両台数も変更できないタクシー事業では、経営者のすることはごくわずかなものでした。発展性も見込めないタクシー以外の事業を始めようと、飲食業を始めることにしたのが15年前のことです。タクシーは、日曜・祝日の売上が極端に悪いのに、当時は5月3日と5日の間が休日になるなど、祝日が増えるような風潮で、祝日が増える度に嘆いていました。そこで、祝日に売上が伸びる業種として、ファミリー向けの飲食業を検討したのです。マックやモスも考えましたが、将来の高齢化を考えると、和食系の方がいいかと思いました。当社の斜め前にも回転寿司がありましたが、古いタイプの回転寿司から、チェーン店が頭角を現してきた頃でした。私は、鉄腕アトムのキャラクターで人気が出ていた“アトムボーイ”に目をつけ、福岡で初めてフランチャイズとして開店することに成功しました。
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(“特選たまご”は、職人が丁寧に焼いた出し巻きたまごで、少し甘めの上品な味が自慢でした。)

 数年後には、回転寿司の流れはネタを重視するグルメ系が強くなり、アトムボーイ本社は上場を果たすも急激に失速してきました。私は、早めに見切りをつけ、地場のグルメ系回転寿司の“さき田”として再スタートしました。当社が撤退した後のアトムボーイの転落は早く、その1年後くらいに倒産することになりました。
再スタートのさき田は、アトムボーイの合理的なシステムとは違って、昔ながらの職人的な調理でしたが、寿司としての質は高く、高い売上を確保することができるようになりました。
 大型の薄利多売の回転寿司の波は、十年くらい前から大阪周辺で台頭してきました。その波が北九州にもとうとうやってきたなあという思いでした。15年経過し、古くなった店舗では、いくら質の高い寿司を提供しても、新しい大型店にはかないません。今から店舗を改装しても、4倍くらいの大型店と張り合ってみても、以前のような売上は見込めないでしょう。
 結局、15年という賃貸契約の終了をもって、今日、閉店することになったものです。
 従業員の皆さんには、1ヶ月ほど前に趣旨を伝えましたが、心配していた急な退職もなく、皆さん最後まで協力してくださったことが、一番有難くうれしいことです。皆さん、明日からの仕事に困ることだと思いますが、最後まで本当に頑張っていただき、有難いことです。
 15年間、いろんなことがありました。そして、たくさんの方に支えられてここまで来たのだと思います。本当にありがとうございました。

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