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特区申請事例その2~時間制運賃の単位の短縮

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特区申請事例その2~時間制運賃の単位の短縮
特区申請事例の2つ目です。八戸観光コンベンション協会から「タクシーにおける時間制運賃の単位時間の短縮」という申請が出ています。タクシー時間制運賃は、最初は30分が最低となっているところを、15分にしたいというものです。
 提案の趣旨は以下の通りです。
 “八戸市は面積300㎢超の中に海や里山の魅力、観光施設が点在しておりますが、バスや鉄道の公共交通の便が十分ではなく利便性の高いタクシーが必要不可欠です。そこで旅行業を有する当協会では主催旅行商品として定額観光タクシーを販売することに致しました。内容は点在する観光地をエリアでくくり、エリア内の施設を結ぶ2点間の乗車を計3回、小エリアは7000円、中エリアは10,000円、市内全域の大エリアは14,000円にて販売するものです。詳細は別紙事業内容書に記載の通りですが、①利用時間の制約がない、②自由なプランニングが可能、③市内タクシー協会全車に乗車可能、④周遊性が高いことが特徴で、従来の周遊型観光タクシーとは異なりお客様の利便性を向上させたものです。当協会からタクシー会社への支払いは、「時間距離併用制運賃」ではなく認可済の「時間制運賃」を適用します。時間制運賃を15分毎に設定できれば、「販売金額を下げる→お客様の利用が増える→タクシーの稼働率が向上する→タクシー業界、市全体の経済活性化に寄与」と好循環が生まれると考えます。15分ごとの時間制運賃は本事業のみへの適用を検討しており、乗降場所が限定されることから、一般のタクシー運行に大きな影響はないものと考えております。”
 上記についての国交省からの1次回答を見てみましょう。
 “タクシー運賃は、利用者を目的地まで輸送した距離に応じて支払われるのが合理的であるという考え方のもと、輸送距離に基づく距離制運賃をその基本としている。
 一方、時間制運賃は、時間距離併用制運賃を適用する場合に発生する観光中の待ち時間における運賃の増加に対する利用者の不安を払拭すること等を目的として設けられた制度である。
 ご提案のような短時間の利用にかかる部分については、時間距離併用制運賃に基づく精算を行っていただくことが適当である。
 また、加算時間部分を15分又は10分に短縮することは現行制度で実施可能である。”
 結局はNOの回答ですが、回答の文章は申請趣旨に対して回答になってない文章であり、官僚が作ったにしてはお粗末です。タクシーの時間制運賃は、今では距離制と対等な扱いができこととして、制約的な文章は外されているものです。短時間でも時間制のメリットを生かしたいから申請しているのであって、それを“時間距離併用制が適当である”と決め付けるのは国の都合だけの解釈だと思います。
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