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共有地の悲劇

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共有地の悲劇
「タクシー事業を巡る諸問題に関する検討ワーキンググループ」という検討会が国土交通省主催で行われている。タクシー乗務員の低賃金や需要に対してタクシーが増えた問題、交通事故の増加などの社会問題に対しての制度的な検討をしようと立ち上がった検討会です。昨年、私も委員として参加した審議会では「タクシーの将来像(あるべき姿)」を導くものであったが、今回はもっと制度的な改善を目的としています。
 ここで、タクシーの例えとして言われているのが、「共有地(コモンズ)の悲劇」という経済用語です。
共有地の悲劇(The Tragedy of Commons)とは、多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうこと、です。
 たとえば、共有地(コモンズ)である牧草地に複数の農民が牛を放牧する。農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧する。自身の所有地であれば、牛が牧草を食べ尽くさないように数を調整するが、共有地では、自身が牛を増やさないと他の農民が牛を増やしてしまい、自身の取り分が減ってしまうので、牛を無尽蔵に増やし続ける結果になる。こうして農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草地は荒れ果て、結果としてすべての農民が被害を受けることになる。
 タクシーも、市場が共有地であるがゆえに、同様の悲劇となっているのです。1社1社毎に営業地域が決められていたら、こんなことにはならなかったのに、と思います。昔は、事業者同士の暗黙の了解で、それぞれの地域を守っていたのですが・・・「そんなの関係ねえ」という事業者が現れたのがとても悔しい、ですね。
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