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コロナとタクシーの貨物輸送

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コロナとタクシーの貨物輸送
新型コロナウィルス感染拡大の影響を踏まえたタクシー事業者による有償貨物運送が、令和2年4月21日付け事務連絡によって可能になりました。当初は、5月13日までの3週間程度の実施期間でしたが、全国的なサービスの拡大を受けて、9月30日まで延長されました。
 そもそも、タクシー事業者が行う救援事業という制度が、平成元年から始まっており、弊社でも平成15年に「便利屋タクシー」として届出を行っています。当時届け出た内容は、
・買い物代行
・お届け物(忘れ物、非定期的なカバン・書類等
・切符・チケットの購入
・病院の順番取り
・バッテリーチャージ
といったものです。買い物代行の中には、当然飲食物も含まれていることから、今回の有償貨物運送も含まれることとなります。ただ、少し違うことが、依頼主が誰かという点です。料理を配達する場合に、料理を頼むお客様がタクシーに依頼する場合は救援事業でいいが、料理を売るお店がタクシーに依頼する場合は、貨物運送になります。一般の消費者にはわかりにくい、こういった制度自体も、私は問題だと思っています。
 かつて、私と一緒の時期に、規制改革推進会議に提案された、タクシー事業者による有償貨物運送が会議で議論になりました。この時は、国交省もタクシー業界も、「貨物は貨物の許可を得るべきだ」と反対し、実現しませんでした。規制改革会議では、こういった規制をなくしてタクシーの守備範囲を広げることで業界にもいいのではないかと押しましたが、頑として譲らなかったのです。
 それが、最近の外出自粛で多くのタクシー事業者が取り組むこととなり、制度の恒久化も検討されていると聞きます。事務連絡で何でもできてしまう法律もおかしいですし、いろんな規制が多い運送業界も何とか緩和できないものかと、切に願う次第です。
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