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コロナとタクシー

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コロナとタクシー
新型コロナウイルス感染症が広まり始めた頃は、まだこんなにタクシー利用が落ち込むとは思いませんでした。30年近くこの業界でやってきましたが、こんなことがあるとは想像すらしたこともありませんし、誰もそうだと思います。
 特に酒類の提供が19時までと制限されて以降、夕方からのタクシー利用はほぼ皆無になりました。タクシーでは、昼勤と夜勤という2交代制をとっている会社もありますが、夜勤の状況は惨憺たるものでした。8時間営業しても、1件のみの千円というケースもめずらしくありませんでした。
 休業した際に、雇用調整助成金という制度がありますが、8時間でも営業した場合は、この制度は使えません。正論としては、事業者が補填しなければならないことになります。そうであれば、営業しない選択の方が正しいということになります。
 緊急事態宣言が出された4月7日からのことを振り返ってみると、タクシーも全車止めるという選択もありだったのではないかと思うこの頃です。中途半端な外出自粛よりも、交通もすべてストップして、3週間程度の短期間、集中して外出制限をかける方が経済的にもよかったのではないかと思います。すべての業種が連休と思えば、できないことではないのではないかと思う次第です。
 タクシー会社も、完全にストップできれば、水道光熱費も事務経費も燃料も使わないですみます。雇用調整助成金の申請も比較的作成が簡単になります。
 完全ストップといっても、医療、介護、ライフラインはやむを得ません。最低限の移動に絞って、短期間で決戦するという作戦もあったのではないかと思います。
 タクシーの管轄は国土交通省ですが、法律的にも運行の指示を出すのはできないでしょう。本来は、緊急事態宣言の中に、交通の扱い方針を組み込むべきです。飛行機、鉄道、バス、タクシー、それぞれについて、休止にするのか何割か動かすのかを明確に指示すべきだと思いました。北九州―羽田間のスターフライヤーは、1往復だけにしましたが、これも民間の判断です。感染対策などという指針を出すよりも、運行の指示を出すべきだと思いました。
 交通事業者は、休業要請にも入っていなくて、その要請が要件の補助もありません。公共交通という割には、運行の基準も示されず、また資金的な援助もほぼありません。「公共」と言われながら、一番素通りされていると思うのは、私だけでしょうか?
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