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自動車運転代行業についての考察

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自動車運転代行業についての考察
代行運転業は、ここ数年のうちに急速に増えました。私は基本的には規制緩和論者ですが、業種によっては必ずしも規制緩和がいいとは言えないとも思います。
 昨年4月現在で、福岡県公安委員会が発表している代行運転事業者数は、県内で344社となっています。県内のタクシー会社数が298社ですから、数年で追い越されたことになります。実際には、認定されていない事業者もあるということですから、実態はさらに多いことと思います。特に地方ほど事業者が多く、大牟田市ではタクシー会社9社に対し、運転代行業が22社にもなっています。
 出店規制のない飲食店などでも自由に開店できますが、食のサービスではおいしくないと話になりません。物販店でも、売れるものがないと出店はできません。ところが、運転業務というのは誰でもできるものであり、サービスの差をそこまで求められないのが、この乱立を招いています。
 岐阜市で、先月、市の職員が運転代行事業者でアルバイトをしていたとして、停職や減給の処分になっています。運転代行業は、こういったサラリーマンなどのアルバイトで成り立っているので、それで生活できるような給料は求められていません。サービスでは差別化が難しい半面、値段での競争になり、今ではつぶしあいになっているとも聞きます。弊社のようなタクシー会社では、その競争に入っていくことなど自殺行為であり、むしろ値段をあげた程です。
 タクシーも、規制を全くなくして誰でもどんな装備の車でもどんな運賃でも参入できるようにしたら、恐らく今の半分以下に運賃は下がるでしょう。ただ、それでまともに生活できる職にはならないで、アルバイトが主流になるだろうと思います。市民の生活のためにはその方がいいのかもしれません。難しいところですが、しっかりとした職業が残るような世の中の方が結局はいいのではないかと思います。「まともに飯が食える」職業を増やしていく政策の方が正解なのではないでしょうか?
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