東京交通新聞・ラウンドテーブル全文

「この指とまれ」
だるまさんが転んだ-。パッと後ろを振り返ると、さっきまで前進していた人が止まっている。鬼が見ていない時はあんなに自由に遠慮なく動いていたのに、鬼が振り向いた途端に固まってしまった。
最近の特措法下はこんなゲームを連想させる。動いたらいけないから、動いた者は捕虜になってしまう。しかし、後ずさりした者には鬼もほほえんでくれるから不思議だ。本当は、振り出しに戻って皆がスタートラインについたらいいのに、もう後の祭りだ。
しぼんだ需要を何とか取り戻すことができないものか。タクシー業界にも、2代目、3代目の若い経営者が頭角を現し始め、全国のあちらこちらで新しい試みをしようとしている。福祉、介護、妊婦、子育て、障害者、高齢者、観光など、どれも新たな需要と言われて久しいが、まだまだ開発すべき点は多い。
例えばエコブームに乗って、タクシー会社がカーシェアリングも用意して、自家用車からの転換を一気に進めてはどうか。地方での乗合バス撤退を尻目に、機動力のあるタクシーが乗合事業に参入することはできないか。割り勘サービスなんて、本来はタクシー自身が行えてしかるべきではないか。
タクシーに今求められているのは、イノベーションだ。従来の発想ではない中で、新たな需要を作り出していかねばならない。
これから始めるゲームを提案しよう。あんなこと、こんなこと、やりたいことを言える場を作るから、賛同者に集まってもらいたい。国にはゲームの場と動きやすいルールを作ってもらいたい。
タクシーを愛する諸君よ、「この指とまれ」というゲームを始めませんか?