TOP > ニュース > ジェットコースター事故と疲労破壊

メディア

ジェットコースター事故と疲労破壊

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ジェットコースター事故と疲労破壊
エキスポランドで起きたジェットコースターの事故については、その原因究明が行われているようですが、一応金属の専門分野という立場で少しコメントしたいと思います。
 車軸の破断面を見ていないので何とも言えませんが、これは専門化が見ればすぐにわかるものです。「疲労破壊」ではないかと言われていますが、そうであれば貝殻状の破断面が見られるでしょう。
 「疲労破壊」とは、破壊するような大きな力でなくても、繰り返し力を与えることで段々弱まって破壊に至るというものです。ミクロ的には、結晶面にすべりが起きて、引き続いて割れ目が進行して起こると言われています。発生メカニズムも、もうかなり研究されていると思いますが、私もそこまでの知識がありません。
 しかし、いろんな金属や素材において、疲労実験は数多くなされている筈ですから、今回の車軸において疲労が起こるべくして起こったのかもすぐにわかると思われます。
 材料に繰り返し応力を与えても永久に破壊しない応力の限度を疲労限度と言います。車軸の場合でも、この疲労限度よりも強い材料にしていれば理論的には疲労破壊は起こらないので、そういう設計が理想的です。それとも、疲労破壊が起こるという前提での定期的な交換が必要とされていたのか、興味のある点です。
 疲労破壊の事例と言えば、あの日航墜落事故が有名ですが、飛行機のように「軽量化」という条件の中での限られた材料選択範囲からでは、定期的な交換前提ということもあり得ます。でも、車軸で交換前提の材料を選択するとも思えません。さて、今回の事故原因の究明が待たれるところです。今まで培われた技術の中で説明できるのか、どうかというところです。
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加