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高知の20円刻み運賃についての考察と疑問

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高知の20円刻み運賃についての考察と疑問

高知の吉本交通という1社が、全国で初めてタクシー運賃の加算部分を20円刻みにする変更をした後、最近になって周辺の10社が同じ運賃に変更しました。この運賃について詳しく考察してみたいと思います。
 (変更前)初乗1.5kmまで540円、以後375m毎に80円加算
 (変更後)初乗1.5kmまで500円、以後101m毎に20円加算
という変更で、パッと見た感じでは初乗40円の違いという風にも見えます。あとは、加算の刻みが小さいだけであって、運賃水準としては40円程度の違いだけです。
 ここで、タクシー運賃の仕組みは、「先取り」という点に注意しなければなりません。1.5kmを越えると、変更前は620円だったものが、520円にしかならず、ここですでに100円の差がついてしまいます。
20111102-083437.jpg

 グラフを見てわかるように、刻みを小さくするということは、先取りで上がる運賃を小さく抑える効果があって、同じ運賃水準でもかなり下がることがわかります。
 高知で10社が追従したのは、20円刻みが良かったというより、単に安い運賃に顧客が奪われたせいではないかと思います。単純に20円刻みの効果と分析するには、ちょっと早計な気がします。
 運輸局が20円刻みを自動認可運賃として認可したことにも大きな疑問が残ります。特措法では、過度な競争をなくそうということで、自動認可運賃幅を小さくした経緯があり、初乗40円の幅というのは8%以内に相当するものです。ところが、20円刻みにすることによって、16%くらいの運賃幅になってしまいます。そのあたりの詳細な検討を運輸局がしたのか、あるいは余程計算ができないところなのか、本省もアドバイスができなかったのか、疑問だらけです。業界紙も、こういった点はきちんと指摘して欲しいものです。

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