「年金倒産」その2(本題)
「年金倒産」での、一番肝心なところを紹介します。
国の厚生年金の積立割合が、わずか17%なのに対し、一番財政が悪化している基金でも40%はあるので、代行部分の保有資産をそのまま返上しても国の厚生年金の財政を悪化させることはない、というのです。だから、指定年金を救済する方法は、「代行部分の積立不足があっても、現有する年金資産をあるだけ国に返上して解散する」ということだと著者は書いています。
なぜ厚労省がこういった救済策を出さないのか?国の厚生年金は、“賦課方式”にとっくに変更しているのに、基金は“積立方式”のまま置き去りにしてきた過去の不作為があるからだといいます。役所のメンツにこだわってできないのだろうということです。
指定基金を救済するには、厚労省が一片の通達を出せばいいということです。その通達とは、
「最低積立基準額(最低責任準備金)」を「当該基金の代行分過去給付現価に、厚生年金本体の過去期間に係る給付分に対する財源のうちの積立金の占める割合を乗じて得た金額、または基金が保有する純資産額のどちらか多い方の額」と読み替えればいい、というものです。基金を継続して赤字を増やしていくよりは、国の厚生年金本体にとっても少なからずメリットがあるというのです。まず何よりも厚労省の英断に期待する、と結んでいます。
以上がこの本の骨子であり、私が一番感銘した部分でもあります。この本をもって、国にも働きかけてみたいと考えています。