筆談タクシー

障害を持ちながら、銀座でトップになるまでになった「筆談ホステス」という本やドラマがありました。実際に筆談のやりとりで残したという「愛言葉」も、いくつかドラマでも紹介されていました。例えば、
「恋と愛との違いとは何でしょう？」
「恋は下に心があるから下心、愛は真ん中に心があるから真心」
　「筆談ホステス」があるのなら「筆談タクシー」があってもいいのかと思ったので、ネットで検索してみたら、やはり同じようなことを考えている人もいました。ただ、聴力が一定以上ない人は、2種免許を取得することができません。ですから、運転手で聴力の障害がある人は残念ながらいません。
　運転手ではなく、お客様が聴覚に不自由な事例はありまして、当社ではメールで依頼があります。運転手は、メモで対応することになり、これはまさしく「筆談タクシー」ではないかと思います。
　普通自動車免許については、一昨年（平成20年6月）の道路交通法の改正で、聴覚障害者にも門戸が開かれました。
道路交通法施行規則23条には、次のように書かれています。
～両耳の聴力が一〇メートルの距離で、九〇デシベルの警音器の音が聞こえるものではないが、法第九十一条の規定により、運転することができる自動車等の種類を専ら人を運搬する構造の普通自動車に限定し、かつ、当該普通自動車の進路と同一の進路及び進路を運転者席の反対側に変更しようとする場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる自動車等を確認することができることとなる後写鏡（以下「特定後写鏡」という。）を車室内において使用すべきこととする条件を付すことにより、当該普通自動車の安全な運転に支障を及ぼすおそれがないと認められること。～
　文章が長くてわかりにくいのですが、要するに広角の後写鏡をつけた普通自動車に聴覚障害者標章をつけるという条件で、運転免許を取得できるようになったものです。

　この標章は、耳を表したものですが、耳と言うより蝶に見えますよね。「聴」を「蝶」に引っ掛けたという人もいますが、それはないようです。