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テザック厚生年金基金事件とは

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テザック厚生年金基金事件とは
「テザック厚生年金基金事件」
基金が解散した際、退職後厚生年金基金から年金を受給していた原告らが、基金の規約による加算年金選択一時金相当額の退職金債権を優先的更生債権として認めるよう求めた裁判です。大阪地裁は、会社の賃金規則に、「退職金のほかに、厚生年金規約の規定により、退職年金を支給する」との規定があることや、基金の運営主体は更生会社とは別の法人であることなどから、「原告らの主張する退職金債権は賃金規則上、認められない」との判決を出しました。
 裁判事例のように会社更生で基金が解散する場合は、加算部分はなくなる状態での解散になり、一時金や年金時受給者の加算部分もなくなります。そこで、今まで年金を受給していた退職者らが、厚生年金基金や管財人などに支払請求を起こしたものです。退職時に一時金を選択した人はすでに全額もらってますが、加算年金選択者は途中でなくなることから、それも不平等であると訴えていました。
 裁判所の判断では、一時金選択者との不平等という点では、本人がどちらでも選択できたことから、原告の主張を退けました。代行返上した場合に加算部分の支払義務が会社に残るかという面では、厚生年金保険法146条により、代行部分も加算部分も全て連合会に継承されるので、その義務はないとされました。また、基金が原告と労働契約をしていないということから、退職金の未払いという観点からの義務もないということです。
(146条:解散時点で既に支払期が到来していた年金受給権を除き、代行部分については厚生年金基金連合会に権利義務を継承させ、それ以外の部分については年金受給権を存続させない。)
 理事の責任という面では、厚生年金基金は国の代行給付をしているということで、「公権力の行使」にあたるということです。要するに、公務員に準じたものになり、個人として責任を負う余地はないということです。公務員が他人に損害を与えた場合には、その責任は国や地方公共団体になり、公務員個人にはならないということです。
 大阪の武智弁護士の説明は、割と早口で書き留めることができませんでしたが、概ね上記のような内容だったと思います。とても勉強になりました。
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