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「持続可能な交通」フランスの交通政策

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「持続可能な交通」フランスの交通政策
フランスの交通政策は、交通基本法によって定められています。交通基本法によって地方自治体の交通政策の範囲や権限、責務が定められています。また、1982年当時に人は誰もが移動する権利を持つ、という交通権の権利を初めて認めました。交通権が認められたことにより、低所得者や高齢者、身体障害者などのマイノリティーの移動を確保するためにより公共交通の強化が求められるようになりました。さらに、1996年の大気法策定に際して、環境保護の規定が盛り込まれました。すなわち、国内交通機関は大気やエネルギーを効率的に利用する事が求められ、都市においては環境負荷の高い自動車利用を削減し、徒歩・自転車・公共交通を強化するという条文が盛り込まれました。
 フランスを始めとするヨーロッパでは、公共交通利用者の利便を図るために、税金を導入してでも運賃を安めに設定しています。フランスには、交通負担金制度という公共交通のための財源制度があります。これは、従業員数10名以上の企業から、給料の一定割合を税金として徴収し、公共交通の財源とする制度です。交通負担金は通勤客からの運賃先取りという性格を有するので、補助金で運賃を値下げするには当然ということになります。
 日本では、残念ながら「交通権」という意識は低いのが現状です。「自家用車依存社会からの脱却」などという考えは微塵も見あたりません。交通政策は、理念が必要なのですが、その理念も見当たりません。例えば、北九州空港の駐車代の390円/1日というのは画期的な安さだと思いますが、とりあえず利用者を増やしたいと言う場渡り的な政策であり、都市交通政策としての整合性や合理性が見られないと思います。1年間のバスへの補助も同様です。将来にわたって継続できる政策を考えていくべきものと思います。
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