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真っ二つに分かれた道路運送法の司法判断

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真っ二つに分かれた道路運送法の司法判断
「規制緩和の方向性で改正された道路運送法において、増車を理由とした加重罰は違法ではないか?」という大阪、東京での裁判で、判断が分かれることになっています。
 大阪では、新金岡交通とワンコイン八尾が、国を相手に車両停止処分の取消しを求めた裁判で、2月3日大阪地裁は原告の主張を認め、車両停止の取消しを命じる判決を出しました。判決では、「事実上の需給調整である減車勧奨、増車抑制を目的とする加重処分が、道路運送法の趣旨、目的に合致しないものであることは明らか」として、裁量権の範囲を逸脱しているとしていました。この件は、双方とも上告しているところです。
 東京では、サンベスト東信が、増車を理由とした行政処分の加重は違法だとして、同様に国を訴えていました。こちらは、7月11日に東京高裁(二審)での判決で、一審判決を同じく原告の訴えを退けました。「供給過剰に陥りやすいタクシー事業の性質上、安全確保のために行政による監査の回数の増加、監査対象事業者の重点化、など事後チェック強化が採用されている」「重点的な監査、点数制の運用の厳格化等により労務管理上の弊害に対する規制の遵守徹底を図ることは法律の目的に沿うものだ」としています。
 道路運送法という法律と、その法律下で通達を駆使して運用する行政が法律の趣旨に沿っているのかという判断が、専門家でも分かれるのですから、我々が判るはずもありません。そして、行政のしていることが当然に正しいのかというと、これもぎりぎりの場合があるということがわかります。我々事業者は、運輸当局から通達が届くと「ははあ」と言って従ってきましたが、「裁量権を逸脱していないか」ちょっと考える必要があるのかもしれません。
 タクシーの特措法は、規制緩和から規制強化へ大きく舵を切ったものですが、本来は道路運送法自体を改正しておく必要があったのではないでしょうか?何となく、継ぎ接ぎだらけの運用のような感じがします。
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