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年金確保支援法と基金

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年金確保支援法と基金
「年金確保支援法案」が8月4日衆議院本会議で可決成立しました。昨年から棚上げされていたように思いますが、可決されるときは野党も含めた多数一致で、本当に議論されているのだろうかと疑問に思います。各党の思惑だけで決議が行われているように感じます。
 「年金確保支援法案」には、主に3つの骨格があり、
①国民年金の納付可能期間の延長2年→10年
②確定拠出年金法改正(加入者が掛金を拠出できることにする等)
③厚生年金保険法改正(解散基金の特例措置等)
 この中で、破綻の危機に陥っている厚生年金基金に関係するのは③ですが、年金確保支援法という名前が意味するように、これは受給者の年金を確保するための改正であり、企業を救おうというものではありません。いろいろと手を尽くした陳情が何にもならなかったという厳しい結果と言わざるを得ません。私の少ない経験では、議員や省庁への陳情が通った試しがありません。国は、というより国の職員は結局自分たちが思うように事を進めているということなのです。
 さて、③をもう少し詳しく説明すると、
・積立金の額が、最低責任準備金を下回っている基金(「特定基金」)が、解散しようとする場合において、政令で定める要件に適合する場合、納付額の減額を認める。また、原則として5年(止むを得ない場合10年まで)での分割納付を認める。
・基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が、分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして厚生労働省令で定める事由が生じた場合を含む。)において、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは、当該基金は、当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を、当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。
―――
 以上、専門的でわかりにくいのですが、事業譲渡の場合でも不足金を徴収することにしたあたり、何としてでも会社から巻き上げようという姿勢がよくわかります。国は、あくまで加入会社と喧嘩するつもりのようです。こうなったら、基金は潰すしかないのかもしれませんね。
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