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規制改革推進会議に出席した1週間後の思い

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規制改革推進会議に出席した1週間後の思い
幕末の坂本竜馬ってこんな気持ちだったのだろうか?こう言うと、自分をすごく美化したり、うぬぼれてると罵られそうですが、「大胆な提案」を公に発表してから落ち着かない日々が続いています。今が幕末だったら、私はタクシー業界の1部の人から暗殺されているかもしれません。こそっと「私も賛成です」と言ってくれる人もいれば、遠目できつい視線を浴びせてくる同業者もいます。同業者が集まる会議に出ると、回りの視線を強く感じ、終わった後も気持ちが落ち着きません。
 「大胆な提案」に賛成する人とそうでない人とを色分けしてみると、およそ福祉タクシー的なことに取り組んだり、自分自ら地域の悩みを聞いてきた社長は、賛成する傾向だと感じています。あと、業界外でタクシー業界のことを一緒に考えてる人も、ほぼ賛成してくれます。客観的にみても、それが究極のライドシェア対策だと認めてくれます。
 タクシーの顧客が減少していくと同時に、運転手が減少していき、24時間対応するなどとても無理な状況になってきます。そうなると、タクシー以外の移動手段を考えなくてはなりません。現状のタクシーの顧客は減少していますが、潜在的なニーズはむしろ増えているのですから。
 ビジネスの基本は、「必要な人に望まれるサービスを提供し適正な対価を得ること」です。日本のタクシーは諸外国に比べても素晴らしいと思いますが、移動したい全てのニーズには十分応えてはいません。その証拠が右肩下がりの需要です。いくら素晴らしい接客をしても、カード決済機を導入しても、使いたくても使えない人は増えています。お客様の望む方向と事業者の目指す方向がずれているとしか言いようがありません。
 弊社単独で考えると、タクシー乗客数は他の事業者と同様に減少していますが、介護タクシーと合わせると、そこそこ頑張っています。普通のタクシーでは移動できない人の移動を介護タクシーという別モードで対応したからです。
 今回の「大胆な提案」は、普通のタクシーでは対応できない顧客層を、別のサービスが出てくる前にタクシーが引き受けようというものです。「別のサービス」とは、ライドシェアだけを言うのではなく、有償運送もあるでしょうし、いつか唐突に出てくる未知なサービスもあり得ます。「強いニーズ」が発生したときに、新しいサービスはどこからともなく出てくるからです。それは、何も今考えられるライドシェアだけではありません。言いたいことは、新しいサービスが出てきたときはもう遅く、タクシーが今のうちに分野を広げていくとこが大事だということです。
 今だけの損得を考えるのではなく、将来を見据えたタクシー像を議論していくことが、タクシー業界が目指すべき道です。
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