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兵庫県乗用自動車厚生年金基金の結末

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兵庫県乗用自動車厚生年金基金の結末
兵庫県乗用自動車厚生年金基金の結末がほぼ確定してきました。このブログで何回か書いてきた責任上、結末の内容について説明したいと思います。
 同基金は、2006年1月に特例解散しました。加入企業50社のうち、19社は一括返済し、残りの31社は10年の分割返済することにしました。
 分割返済といっても、中小企業にとって大変な金額なので、解散の翌年から倒産する会社が出始め、今年の3月までに15社が倒産しました。この中には、偽装倒産して別会社でタクシーを始めた会社も含まれています。
 この当時の特例解散の決まりでは、一括返済の場合は他の会社の倒産リスクを回避でき、分割返済の場合は倒産会社の負債まで引き受けないといけないことになっていました。単純に計算しても、31社中15社が倒産すると、残った会社の負債は倍に膨らみます。
 この基金の経過が注目されていたところですが、分割会社のうち、2社が昨年11月に、9社が今年の2月に一括での繰り上げ返済したということです。繰上げ返済した際の倒産会社の負債については、返済時までの負債も合わせて返済したということです。多額の返済資金が必要だったと思いますが、よく返済できたものです。
 現存するのは3社ということですが、総額11億円の負債になるということで、1社は繰り上げ返済に動くも、他は倒産模様であり、夏頃には全て終わるという観測です。
 兵庫県乗用自動車厚生年金基金の結末は、国としてはある程度の返済があったと評価するのかもしれません。しかし、十数社に及ぶ倒産は、そこで働いてた従業員も千人近くにも及び、私は最悪の政策だと思います。たとえもっと時間がかかっても、中小企業で返済できる仕組みを作っていたら、1社も倒産しなかった筈です。特例解散の仕組みは、不足金の額に寄らず、10年で返済するようになっています。返済額が売上の5%くらいの水準になっても何の歯止めもありません。全く現実を考慮していないものです。連帯責任の仕組みについても、倍々になっていく仕組みが現実問題成り立つ筈がありません。
 我々は仮想の世界で経営している訳ではないので、国には現実に即した政策を取ってもらいたいものです。
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