札幌の裁判事例から
8月のことですが、札幌のタクシー会社3社の運転手計169人が、それぞれの会社を相手取り、未払い賃金計1億8700万円の支給を求めて地裁に提訴したという事例があります。
原告は「客待ち時間の一部を労働時間に算入していない」「給与が最低賃金を下回っていた」などと主張。会社側は「賃金は適正に支払っている」などと反論しています。複数のタクシー会社の運転手が集団訴訟を起こすのは珍しいことです。
北海道新聞の8月11日の社説には、次のように書かれています。
―――
低賃金の背景には、小泉純一郎政権時代の規制緩和政策がある。
札幌圏のタクシーは02年から新規参入が事実上自由化され、台数が1割以上増えた。一方、景気の悪化からタクシー会社の収入は2割も減少し、しわよせが運転手の人件費に及んだ。
札幌圏のタクシーは10年に、全車両の1割を減らしたが、業界内にはさらに2割程度の減車が必要との見方が多い。
過当競争を防ぐために、需要に見合った台数とするのは当然だ。だが、減車により収入減となるため、各社とも模様眺めをしているようだ。早急に取り組んでほしい。
ただ、減車しても運転手の長時間労働が常態化していては、待遇改善に結びつかない。
歩合給が基本の給与制度を改め、固定給部分を増やすなど、安定した収入を得られるような賃金体系に変えるべきではないか。
高齢化が進む中、お年寄りの足としても今後、タクシーの役割はますます大きくなる。買い物や通院のため、複数の乗客が相乗りする「乗り合いタクシー」が地方を中心に広がりを見せている。
業界は、利用者のニーズを営業戦略に取り入れながら、健全な経営体質を取り戻してほしい
―――
社説では、賃金体系のことまで触れてますが、歩合給が諸悪の元であることは否定できないだろうと思います。ただ、売上という本人の努力に応じた給与というのも、事業場外労働という特性から実に合理的であり、固定給にすることで意欲が大きく失われる恐れがあります。
本来は、会社が営業方法の指示を出し(待機や流しの仕方)、それに基づいた固定給を保障する上に、売上に応じた歩合給を乗せるべきなのでしょう。しかし、そのためには給与体系全体を組み替える必要があり、乗務員側からそれに対する理解を得るには並大抵のことではありません。営業の仕方についても、会社の指示をどれだけ受け入れるか、乗務員側の改革も必要になります。
そろそろ「一度ご破算にしてから新たな仕組みを考えませんか?」という提案を、労使で考えたらいいと思うのですが・・・ただ、労側にも使側にも常識的な感性を持ったキーパーソンが必要でしょうね。
原告は「客待ち時間の一部を労働時間に算入していない」「給与が最低賃金を下回っていた」などと主張。会社側は「賃金は適正に支払っている」などと反論しています。複数のタクシー会社の運転手が集団訴訟を起こすのは珍しいことです。
北海道新聞の8月11日の社説には、次のように書かれています。
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低賃金の背景には、小泉純一郎政権時代の規制緩和政策がある。
札幌圏のタクシーは02年から新規参入が事実上自由化され、台数が1割以上増えた。一方、景気の悪化からタクシー会社の収入は2割も減少し、しわよせが運転手の人件費に及んだ。
札幌圏のタクシーは10年に、全車両の1割を減らしたが、業界内にはさらに2割程度の減車が必要との見方が多い。
過当競争を防ぐために、需要に見合った台数とするのは当然だ。だが、減車により収入減となるため、各社とも模様眺めをしているようだ。早急に取り組んでほしい。
ただ、減車しても運転手の長時間労働が常態化していては、待遇改善に結びつかない。
歩合給が基本の給与制度を改め、固定給部分を増やすなど、安定した収入を得られるような賃金体系に変えるべきではないか。
高齢化が進む中、お年寄りの足としても今後、タクシーの役割はますます大きくなる。買い物や通院のため、複数の乗客が相乗りする「乗り合いタクシー」が地方を中心に広がりを見せている。
業界は、利用者のニーズを営業戦略に取り入れながら、健全な経営体質を取り戻してほしい
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社説では、賃金体系のことまで触れてますが、歩合給が諸悪の元であることは否定できないだろうと思います。ただ、売上という本人の努力に応じた給与というのも、事業場外労働という特性から実に合理的であり、固定給にすることで意欲が大きく失われる恐れがあります。
本来は、会社が営業方法の指示を出し(待機や流しの仕方)、それに基づいた固定給を保障する上に、売上に応じた歩合給を乗せるべきなのでしょう。しかし、そのためには給与体系全体を組み替える必要があり、乗務員側からそれに対する理解を得るには並大抵のことではありません。営業の仕方についても、会社の指示をどれだけ受け入れるか、乗務員側の改革も必要になります。
そろそろ「一度ご破算にしてから新たな仕組みを考えませんか?」という提案を、労使で考えたらいいと思うのですが・・・ただ、労側にも使側にも常識的な感性を持ったキーパーソンが必要でしょうね。