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受動喫煙裁判の結果

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受動喫煙裁判の結果
平成15年に受動喫煙防止対策についての事業所の責務を求めた通達が発せられ、タクシー乗務員が国や会社を相手取って、タクシー車内での受動喫煙により健康被害を被ったと訴える事例がありました。
 そのひとつKハイヤー事件として、平成19年最高裁上告不受理で結審した判決要旨が労務研修会の資料にありました。
 事件の概要は、タクシー乗務員Aが,喫煙車両での乗務により受動喫煙を強要され、慢性気管支炎を患うなどしたとして、会社に損害賠償を求めたものです。判決は、Aの訴えを棄却しています。
 経過を説明すると長くなるので、裁判所の判断骨子を以下に示します。
「非喫煙車両に乗務することを前提に会社に採用されたAの受動喫煙を理由とする場合において、会社が安全配慮義務の不履行又は不法行為に基づく損害賠償義務を負うというためには、Aにおいて、会社に対しその業務の遂行における受動喫煙による体調の変化を具体的に訴え、会社が、その健康診断により、Aに受動喫煙による健康への悪影響が生じていることを認識し得たにもかかわらず、これを漫然と放置したために、Aに健康被害の結果が生じたものと認めることができる場合であることを要するものと解するのが相当である。」
 この裁判例では、Aが具体的に健康被害を訴えたのが訴状とともに送付された診断書だったということで、あらかじめ具体的に会社に訴えていなかったことが大きいと思います。タクシーの場合は、どれくらい乗客が喫煙するかは定量的なデータもなく、会社としても把握することが困難であるので、乗務員側からの報告が必要だということです。
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