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タクシー運賃のあり方

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タクシー運賃のあり方
北九州のタクシー運賃値上げと対照的な事例として、O社の安価な運賃が西日本新聞で連載され、今日はRKBでも放映されていた。同社の社長曰く「タクシーは高すぎる、安くして利用しやくすべき。」
 私も10年前まではそう思っていた。自分が書いた昔の文章でも、「高速道路を走ってもメーター制なんておかしい、時間が短くできるのだからもっと安くできるはず。」などと、安くして利用しやすい環境を作るべきだと主張していた。
 その後、いろんな割引制度や自社の需要動向を研究してきた結果、「単に一律に安くすればいいというものではない。」という結論に至った。
 タクシー業界は、小さい会社が全国に1万社もあって、それぞれの研究体制などというものもなく、営業戦略と言うものの皆無である。それに比べて、航空会社や鉄道会社は、同じ交通事業社といっても規模も大きく、営業戦略を組み立てるスタッフも揃っていて、いろんなことを試しつくしていると言っていい。私の結論は、結局、航空会社のとっている料金制度が正しいのだと思っている。すなわち、基本料金の値引きは行わず、細かな割引でコントロールしていくという方法である。
 タクシーの特殊性として、大きく3つある。
1) 派生需要
 タクシーに乗ることが目的ではなく、何か別な用事があるからタクシーに乗るということ。従って、夜中の3時頃に半額にしても、用事もないのに誰も乗らないということ。物の販売なら安くすれば売れるということもあるが、タクシーの場合は外出目的が増えないのに需要は増えない。結局、値下げは他社のタクシー需要を取ってくることが主眼になってしまう。本来は、自家用車からの移行を目指すべきだが、少々の値下げではそれもなかなか難しい。
2) 即時性
 今、必要なのであって、「今はタクシーが忙しいのであとでいいですか?」と言っても必要ないもの。需要を貯めておくことも、在庫することもできない。需要がピークのときに、いくら割引しても対応できず、結局ロスをしてしまう。
3) 時間消費型
 物であれば製造ラインを増強して需要に応えることもできるが、タクシーは道路を走るので平均速度(車の流れの速度)以上では走れず、時速30キロとしたら1時間に30キロしか走れない。パーマ屋さんで、1人のスタッフのところに何人もお客様がきても、1日にできる人は限られてしまうのと同じ。15分800円という運賃であるなら、送って帰って30分800円の収入にしかならない。それは、どんなにお客様が増えても増やすことができない。
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これらの特徴を細かく考えていくと、結局行き着くところは「航空業界は良く考えてるなあ」ということです。冒頭の会社の社長も、気付いてくれればいいのですが・・
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