ニューヨークと日本のタクシーの比較
「ニューヨークを走る・日本人キャブ・ドライバー物語」という本を紹介します。著者の若宮健さんは、トヨタのディーラー営業マン出身ですが、タクシーの運転手をした経験から、他のもタクシーの本を書いています。
この本は、著者がニューヨークのイエローキャブの運転手である白石さんという日本人と知り合ったことから、ニューヨークのタクシー事情やエピソードを披露しています。
イエローキャブドライバーの形態は、オーナードライバー、フリートドライバー、リースドライバーの3種類あるそうです。オーナードライバーは、自分で運転するものもいるが、営業許可証を貸し出しているものもいる。フリートドライバーは、その日または週単位のリース料を払いキャブを借りるもの。リースドライバーは、2人で1台の車を借り、1日交代で仕事をするものです。日本のような会社に所属する社員ではなく、請負契約の形のようです。本当は、日本でもこの形式が合っているのだと思います。
キャブの免許を取得するには、19歳以上、18ヶ月以内の違反ポイントが7点以下などで、80時間の講習を受講し、学力テストをドラッグテストにパスすることだそうです。
東京都の人口が約1200万人でタクシーが58000台。ニューヨークの人口が約800万人でタクシーが13150台。いかに東京のタクシーが多いかわかります。ニューヨークでは、TLCという組織で全体のタクシー台数を規制しています。台数は規制していますが、行政の監査制度などの規制はなくて、行政が関わる仕事はほとんどないようです。
著者が日本の制度に対しての批判を引用すると、「まったく酷い国である。日本のタクシー料金は世界一高い。それは、多くの役人が業界にぶら下がっているからなのである。日本という国は、あらゆる業界で役人という扶養家族が多すぎる。」的を得た批判だと思います。日本では、道路運送法、労働基準法などを守るために、管理面でかなりのコストが必要なように縛られています。これを「扶養家族」と例えるのはおもしろいと思いました。
フリートドライバーは、1日100ドルで車両を借りて、ガソリン代を差引いても、200~300ドルの手取りがあるそうです。それは、都市の規模に応じて管理された車両台数で、それなりの売上が保証されているようなものだからでしょう。1日100ドルというコストが安いのも、日本のような管理コストがかからないからだと思います。
イエローキャブの色は、科学的に一番認識しやすい色だそうで、利用者にわかりやすく、また事故を防ぐためだとか。日本の黒塗りのタクシーは最悪の色だそうです。
ニューヨークのタクシーと比較してみると、日本は不必要なところで手間をかけたり役人がからんだりしているような気がします。もっとシンプルに、合理的にいかないものですかね。