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タクシーの本紹介その7「わが国タクシー産業における・・・」

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タクシーの本紹介その7「わが国タクシー産業における・・・」

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この本は、社会学博士の学位論文なので、市販されているものではありません。
本の題名は、「わが国タクシー産業における規制緩和プロセスの経営学的研究:組織による制度的環境の変革行動の解明に向けて」。論文にはよくあることですが、とても長い題名です。
 まえがきから、
~本研究は、わが国タクシー産業の規制緩和が施行されるに至った経緯の経験的研究を通じ、組織による制度的環境変革プロセスの理論モデルを構築して、規制緩和をはじめとする制度変革の研究への新しいアプローチを提示しようとしたものである。~
 要するに、タクシーの規制緩和を事例にとって、組織論的な研究でその過程を説明しようとした研究です。組織論的なことは、私にもよく理解できませんが、規制緩和に至った経緯のところは、とても勉強になります。
 少し、紹介しましょう。
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流しのタクシーを利用しようとする需要者側には、以下の関数に示されるような利用費用πが生じる。
 π=p+vt(H)
ここで、p:料金、v:時間価値、t:待ち時間、H:流しのタクシー供給量
一般に、供給量Hが増えるに従い待ち時間tは減少する。料金pの下落と、(供給量Hの増加による)待ち時間tの短縮は、需要者の利用費用πを減少させ、利用可能性を増す。利用可能性の上昇は、需要者によるタクシーサービスの評価を向上させ、一般にタクシーの需要を増加させるという。
 よって、タクシーの利用可能性を上昇させ、その需要量を増大させるためには、(時間価値を一定とすると)料金と待ち時間という2つの変数の捜査が必要とされる。
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こんな感じでタクシーとは思えない学術的な議論ですが、理数系の私としてはとてもうれしい説明の仕方です。本来は、タクシー業界もこんな議論からしていかないといけないと思うのですが、なんかレベルが低いなぁ・・・

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