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ロンドンタクシーと規制について

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ロンドンタクシーと規制について
ロンドンのタクシーやミニキャブと、日本のタクシーが根本的に違う点は「雇用関係があるか」という点です。そこから監督官庁が事業者に課している内容が全く違い、必然的に事業者が見る相手が違っています。
今回のロンドン訪問で、Addison Lee や Hailo の話からは、一切監督官庁に対しての発言はなく、見てるのは顧客だけだと感じました。「苦情はどこにくるか?」という質問には、「顧客からの声には常に耳を傾け、アプリなどの開発に生かす」という。監督官庁が苦情を受け、その件数が特定地域など規制に影響するのは、日本だけではないか?
「日報を記入するか?」との質問には、「アプリで乗車履歴が詳細に残るので書く必要はない」と、当然と言えば当然の答え。規則だから日報を書かないといけないという日本の事情はどうも理解できないらしい。
ふと「日本の乗務員日報は誰のために必要なのか?」と考え込んでしまいました。顧客への何かあった時のための記録なら、今やGPSで経路も記録できるデータで十分ではないか?よって、「監督官庁の権威を示すための事業者に対する嫌がらせ」なのではないかと思うことがあります。乗務員には、子供でもないのに、休憩時刻を書け、乗務終了は洗車の後か前か、など、いちいち指導しなければなりません。乗務員は日報を書くことより売上を上げる方が大事で、事業者も本当はそうなのに、監督官庁のための書類作りに時間をかけるのは、活性化を遅らせている一番の原因ではないでしょうか?
ロンドンのように雇用関係がなかったら、点呼もないし、日報もない、社会保険も消費税もいりません。ただ、地理知識や接客には手を抜けないのは、雇用関係がなくても顧客に選ばれる必要があるからです。ロンドンでは、「1秒でも早く顧客に到着し」「タクシーに無駄な動きがないように」各社ともしのぎを削っています。「このままでは、日本はどんどん引き離される」と感じました。Hailo や Uber が上陸するのを阻止しようとする「攘夷派」はきっと日本を駄目にすることは歴史が証明しています。
日本のタクシーが真に活性化するためには、雇用関係を無くすのは無理としても、顧客に選ばれるための競争をするべきではないでしょうか?顧客のためではない、事業者の義務的なことは一切無くしていくべきだと思います。道路運送法を抜本的に改革して開国に備えたい、というのが私の考えです。
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