TOP > 都市交通 > 「持続可能な交通」綾部市の事例から

メディア

「持続可能な交通」綾部市の事例から

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「持続可能な交通」綾部市の事例から
京都府の綾部市。旧京都交通が破綻し、その再建案が次のようなものでした。
①7路線の2~3路線廃止②1日116便→40便ほどに減便③市の補助金の倍増
この再建案に対して、綾部市はNOと言い、市が独自に運営する選択を取りました。
市の運行する「あやべ市民バス」は、大胆な改革を行いました。
①既存の路線は確保する②1日116便→150便に増便③一部の路線で予約型乗合タクシーの導入
④運賃:市街地は200円均一化。その他の区域は区間制運賃で500円上限(従来最高1250円)
⑤定期券の上限を大幅に抑えた(通学定期1ヶ月最高3万円→1万円程度)
これらの結果、
①利用者が1.5倍に増加
②市からの補助金は半額程度に減少した
・・・
以上が取組みと結果ですが、民間事業者では何故できないのかと言う疑問が沸きますよね。それはこういうことだと思います。
1)1企業では、大きなリスクを負うことができないため、大胆な変更がしにくい。
2)企業であるために、市民や民間知識人の意見を取り入れにくい(取り入れる仕組みは必要だと思いますが)。
3)バス会社であるため、一部「予約型乗合タクシー」を導入するという転換は難しい。
でも、できないことではありません。それは、行政と民間バス会社が一体となって推進することで可能なのです。「リスクは市が負うから大胆に改革しよう」という太っ腹な市長でもいたらいいのではないでしょうか?
 自社の話で恐縮ですが、空港乗合タクシーも本当は2500円を1500円くらいにして利便性を上げたら、ぐっと利用客が増えて採算ベースにのる可能性もあるかと思ってます。北九州空港の利用客も増えて万々歳、というシナリオもあるのですが、1企業では困難です。私が空港対策室で、いくらかの予算をいただけるのでしたら、花火を打ち上げるんですけど・・・
 バスの再建策は、(北九州もそうですが)、「どうやって赤字補填額を減らすことができるか」という視点が多いのですが、本来は「どうやって利便性を上げるか」という視点から考えていくべきです。赤字補填額を多少抑えて不便になっていくよりも、利便性があがる方が市民は理解できるのではないでしょうか?市民の理解には、もうひとつ「移動制約者の移動の権利」ということや「持続可能な交通」という意識を持っていただく必要もあります。
20070210-095500.jpg
あやバス予約型乗合タクシー
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加