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兵庫県乗用自動車厚生年金基金の悲劇

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兵庫県乗用自動車厚生年金基金の悲劇
「兵庫県乗用自動車厚生年金基金」は、兵庫県内のタクシー会社約50社で設立した厚生年金基金ですが、2006年1月に特例解散(条件付解散)しました。この物語は、あまりにも悲惨でこの世のしくみとは思えないことだし、残された会社のことを考慮すると触れない方がいいと思い控えていました。しかし、最近はこの基金の負担で倒産した会社のことが記事になるケースも増えてきて、周知の事実になってきたことから、少し触れてみたいと思います。
 この基金は、福岡や他の基金と同様、何の不備もないのに主に株価の減少で財政的に立ち行かなくなり、当時設けられた特例解散という手段を用いて解散しました。例えば、50社で80億円の(基金上の)負債があったら、1社平均1億6千万円を一括で払うか、十年間の分割で払うかを選択できました。4割の会社が一括を選択し、6割の会社が分割を選択しました。当然、分割を選択したのは、一括での支払が無理だからだと思います。
 あれから4年以上経過した今まで、分割を選択した会社が月々の支払に耐え切れなくなって、倒産していきました。分割の会社約30社のうち、半数近くが倒産してきました。一番の問題は、倒産した会社の負担を残った会社で分担するしくみです。私は、このしくみのことを「ロッククライミング」に例えて説明しました。ロープで結んで山を登っていくのに、1人が落ちても何とか支えられるが、数人が落ちたらみんなが落ちることになります。
 10年間で2億円払うべき会社が、この4年間で何とか8千万円払い込んだとしても、倒産した会社の負担で、負債が2億円にまで戻ってしまうとしたら、それは酷だと思いませんか?兵庫では政治家に陳情したりして手を尽くしていると思いますが、心ある政治家なら何とかできないものかと思います。
 仲間であるタクシー会社が、こんなことで倒れていく様をみるのは忍びない限りです。
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