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ダイナミックプライシングのすすめ

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ダイナミックプライシングのすすめ

タクシーにもダイナピックプライシングを!

政府の規制改革実施計画の中に、「変動運賃の在り方について検討を進める」と記載されました。ところが、世論はじめ同業者内でも、この変動運賃については議論が分かれています。筆者の主張について、簡単にまとめてみました。

ダイナミックプライシングとは?

ダイナミック・プライシングとは需要と供給のバランスによって料金が決まる仕組みのこと。ホテル予約や航空券予約ではよく使われており、ホテルなどは倍以上になることもよくあります。消費者にとっては、たまにしか泊まらないホテルが高くなっているのは不合理に感じることがあるかもしれませんが、少々高くても泊まらないといけない人には、空いているだけいいという考え方もあります。ホテル側にとっては、稼働率を上げより多くの収益を得ることができるようになり、結果的に平均価格を下げることで、消費者にもメリットがあることになります。

なぜタクシーにダイナミックプライシングが必要か?

タクシーは、道路運送法という法律ができた以降、これだけ時代が変わってきても、ほとんど見直されることなく現在に至っています。この間、利用者は激減し、タクシー乗務員は減少し、若い乗務員が入らないから乗務員が高齢化してきました。東京を除く地方のタクシー乗務員の平均年齢が65歳を超えているという現状を異常と考えない人がいるでしょうか?いや、国交省は異常と考えずに担当者がバトンをつないでいったのかもしれません。北九州市では、70代の乗務員が一番多いというのは、すでに限界集落化を超えています。
 この現状の根本原因は、「生産性の向上」を命題としてこなかったからです。公共交通機関として、総括原価方式での横並び運賃として規制し、顧客に対しての公平な対応や、飲酒運転等の悪質な事故の削減などを最重点として、道路運送法を見直す機会もなかったからです。
 安全・安心・公平な運行は、第一に必要なことですが、生産性の向上なくしては事業の継続ができないことを、なぜ考えてこなかったのでしょうか?

同業者の中でも反対する理由は?

「公共交通機関にダイナミックプライシングは馴染まない」というのが世論や同業者の一部からの反対意見です。確かに、頻繁に通院しないといけない高齢者等の方が、今日は500円、明日は1,000円というのも困ります。通勤のサラリーマンも、電車の運賃が毎日違うというのも違和感があるでしょう。ただ、それはすべての人に適用するのか、という点でいくらでもやりようがあると思っています。
 

筆者はどう考えているか?

それよりも、ダイナミックプライシングを有効に取り入れ、タクシーの生産性を向上させ、通院で使う高齢者への定期券を安く提供する方が余程理にかなってると思いませんか?
 タクシー事業を継続させるためには、圧倒的な生産性向上が必要です。そのためには、たとえ試行錯誤でも、新しい仕組みに挑戦し、次世代のタクシー運賃を育てていかねばなりません。ぜひ多くの皆様に賛同していただきたいと願っています。

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