その3「タクシーに未来はあるか」
現明治大学商学部教授で公共政策学、国際交通論が専門の戸崎 肇著です。
タクシー産業における規制緩和政策を総括。労働者や利用者の視点から問題点を検証し、日本社会とタクシー事業の未来を展望する~と紹介されてます。
規制緩和によって市場の失敗が起きたという立場で、タクシー業界が抱える問題点を掘り下げています。タクシーに詳しい学者が少ない中で、業界の良き理解者のお一人だと思います。
「現在は特にバスとタクシーが連動することによって、早急に地方の交通体系を支えていくシステムを構築していかねばならない。」同感です。
「タクシーについては、ただ単に競争原理に委ねるのではなく、その健全なあり方について、社会的に積極的に関与していくべきである。」
「若年層が中核となって活動してこそ、はじめて将来の産業像について真剣に議論し、行動する土壌が形成される。また、発想力の問題もある。斬新な発想こそが必要なのだ。業界の将来について必死で考える労働者が主体となり、行動を起こすためには、どうしても斬新な発想ができる若年層のタクシードライバーの数が増えていかねばならない。そのためには、賃金が成年層の生活を十分に成り立たせる所得水準になるよう、市場構造をある程度強制的に修正していかなければならない。」
「タクシーは、いまや社会をさまざまな形で底辺から支える公共財なのである。この点の国民の理解を早急に高めていくことが求められる。」
書いていくときりがないが、共感できる点が多い論文です。